寄稿シリーズ01「先輩とコーヒーと私」

寄稿シリーズ 第1弾 「先輩とコーヒーと私」

寄稿シリーズとは??
記事を更新しないクルーに代わってフラタニティに所縁のある人々が記事を更新しちゃう完全人任せ企画! 第1弾はスタジオ鮨で働くAD中澤くん描き下ろしの 「先輩とコーヒーと私」をどうぞ!

 ※以下の文章にまつわる真実性、信憑性について、フラタニティは一切の責任を負いません。



「先輩とコーヒーと私」

 はじめまして。AD中澤です。 スタジオ鮨というトコで週1で働いてる25歳です。 上司のヤマガタさんから書けってパワハラを受けたのでフロタニティ?フラタニティ?のクルーのみなさんのことは大して知りませんが、なにか書きたいと思います。

 おれはさっきも書いたようにスタジオ鮨という映像を扱う会社で働いてます。ボスのヤマガタさんと同学年のモザンビーク田邊と自分の3人で働いてます。働いてるっていっても仕事が全然入ってこないので田邊もおれもバイトをして、なんとか食っていける感じです。おれは某有名コーヒーショップでがっつりバイトしてます(週5)。このコーヒーショップ、巷ではオシャレだとかサードなんとかってもて囃されてる店で一応、人気店だと思います。しかし、おれはコーヒーよりコーラ派なので、味についてはなにも語れないし、コーヒーに対する情熱なんてこれっぽっちもありません。一方、他のバイト連中は違います。そのなかでも、いかにもオシャレ雑誌に出てきそうな感じのさわやか雰囲気イケメンの桜井先輩はダントツです。桜井先輩は休憩時間にうちのコーヒーのなにが美味いかを淹れたてのコーヒーよりアツく、おれに教えてくれます。まあ、おれは「へ〜」やら「はぁ。。」とムーディ勝山しちゃってるんで話の3割も覚えていませんが。。

 そんなコーヒーのコの字も知らないおれですが、仕事は真面目にやります。マニュアルも桜井先輩より覚えてるし、1秒も絶やさない笑顔をお客さんに振りまくし、閉店後の掃除は桜井先輩よりキッチリやる。仕事に対しては真面目なんです。しかし、勤務中に大勢のお客さんをみて、ふと思うことがあります。

 それは 「こいつら、本当にコーヒーを飲みてえのか?」 です。  

 なぜ、そんなことを思うのかというと大半のお客さんたちは10〜15分、長い時はそれ以上の待ち時間に堪えて、うちのコーヒーを買ってくれる。しかし、いざコーヒーを手にするとバッグからおもむろにiPhoneをとりだして、写真をパシャパシャ撮りはじめます。しかも撮る枚数が尋常じゃない。コーヒーのブツ撮りから、コーヒーと自分のツーショット、コーヒーを飲んでるわたしというテーマであろう自撮りまで。はっきり言って異常です。勿論、おれも馬鹿じゃないから写真を撮ってインスタグラムなどにアップしてるんだろうなってことぐらいはわかります。だから、試しにインスタグラムでハッシュタグ検索をうちの店の名前でかけてみたんです。そしたら3万件ぐらいでてきた。これは全部見きれねえやと思いながら、いざ開いたらびっくり。

どれもこれもフォトジェニックな写真ばっかりじゃねえか!!!
しかも自撮りしてる女の子は大体かわいい!!!

 おれが店でみている彼女たちはいわゆる現場での撮影真っ只中の状態。撮影中は常に鬼の形相だったから、店内での彼女たちの顔はすべて般若に見えていた。しかし、写真を通してみるとこんなに可愛いとは思わなかった。ただ、そんな可愛い彼女たちをみてもやっぱり思うことは本当にコーヒーという飲み物を楽しんでいるのかなってこと。結局はコーラ派のおれと同レベルではないだろうか。おれは彼女たちの自己顕示欲や承認欲求、自分のライフスタイルのために長い行列に並んで、よくも知らないコーヒーを撮る姿勢を批判したいわけじゃない。むしろ、そういった彼女たちを可愛いとさえ思ってしまったんだ。そうじゃなくて、彼女たちがコーヒーをよく知らずにSNSにアップする写真のために店に並んでると仮定したら、おれが心配する相手は彼女たちではなく、桜井先輩なんだ。休憩時間にコーヒーの薀蓄をコーヒーに対して全く興味のないおれにやたら話してくれる桜井先輩。そんな会話をいつも右から左へ受け流してるおれが唯一覚えてる内容は 「時々、うちに並んでくれる女の子たちをみるとコーヒーの本当の味をわかってくれてるんだって感じられて、とても感動するんだよね。ざわちん(おれのあだ名)もそう思うでしょ?」
 こいつ、すげー痛いこと言ってるな。 先輩、すげーかっこいいなって思ったから覚えてるんだけど、彼女たちがコーヒーに興味なかったときを仮定した場合の桜井先輩のイタさ加減 論理破綻感が凄まじくて泣けてきちゃうんだよ。

 正直、おれは桜井先輩が苦手だ。いや、嫌いだ。いや、うざいとさえ思っている。大して仕事しないくせにコーヒー愛だけ垂れ流してくるし。でも、さすがにコーヒー愛が強い桜井先輩にとってこの真実は過酷過ぎる。もし真実を知ったらコーヒーで溺死しちゃうかもしれない。だから、おれは桜井先輩にはほんの少しだけ優しくしようと決めたんだ。辛い真実からちょっとでも距離を離すために。話は聞き流すけど。。 

 …っていう話を数日前にボスに愚痴ったら「その話、面白いからフラタニティの媒体に書きなよ」って言われた。でも、そもそもフラタニティってなに?ってなって、そしたらボスにお前は編集してる映像に出てくるやつらのことも知らんのかって怒られたよ。 フラタニティってスタジオ鮨に映像編集を依頼してくる稀有なお得意様だった。てか、多分だけどこの寄稿シリーズってやつ、おれじゃなくてボスに振られた仕事だよね?確実にボスは仕事をおれに丸投げしたよね?時間外手当貰わないと。。というわけで、これを読んでいるみなさん、フラタニティはなにやらTシャツとか売ってるらしいから(おれは数日前に初めて知った)買ってあげてね!別に彼らのTシャツの意味とか知らなくてもインスタグラムのために買うとかでもいいから買ってあげてね!

スタジオ鮨
AD中澤

コメント